研究概要 |
術者の熟練度に関係なく,短時間の練和で常に良好な泥を得ることを期待して、歯髄に対する影響が少なく,歯質や金属に接着する合着用グラスアイオノマーセメントをカプセルに入れて機械練和することを考えた。 今回の実験により、1.市販のグラスアイオノマーセメント1,225gをミクロ形音波フルイ器で分級した。粒度分布は、0〜5μmの粒子径が0.4%,5〜10μmが4.3%,10〜15μmが18.5%,15〜20μmが38.6%,20〜25μmが38.2%となった。 2.A:粉末の粒子径(10〜15,15〜20,20〜25μm)B:練和時間(12,18秒),C:ペッスルの大きさ(直径0.25,0.40,0.50cmのスチール製の球),D:粉液比(2.6/1.0,3.0/1.0,3.4g/1.0g)を要因として、機械練和した泥の被膜厚さと圧縮強さを測定した。粒子径10〜15μm,練和時間18秒,ペッスルの大きさ0.4cm,粉液比3.0g/1.0gの条件で機械練和した泥は、被膜厚さが23μm(リン酸亜鉛セメントの分割練和とほぼ同じ),圧縮強さは246.4MPa(グラスアイオノマーの手練和の1.4倍,リン酸亜鉛セメントの1.8倍)となった。3.機械練和中、後における泥の温度上昇を測定した。(1)粉末の粒子が細かくなると硬化が早くなった,(2)ペッスルの大きさは反応熱の吸収でなく、練和度に大きく影響し、直径0.4cmが良かった,(3)粉液比は3.0g/1.0gが最適となった など以上のことが明確となった。 さらに、このグライアイオノマーセメントを最適条件で機械練和した泥の接着強さ(歯質や金属に対する)や崩壊率,標準稠度について、実験を進めていく考えである。
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