研究概要 |
本研究計画に従い、3例の唇顎口蓋裂患者に対し,下顎埋伏智歯の抜歯とともに新生骨生成の場を確保した.その約3か月後に,抜歯窩に生成した新生骨を顎裂部へ骨移植した.移植後,X-PやCTにて移植骨の状態や骨架橋の形態を経時的に観察した.術前・術中・術後にかけて,口腔内外の病態写真(スライドを含む),石膏模型,X-P,CT等の資料を採取した.次に大学院生の協力を得て,X-PおよびCTをトレースして移植部の骨架橋の幅を計測するなど資料の分析と整理を行った.その結果は次の通りである. 1.新生骨は腸骨海綿骨と同様に,成形に優れ操作性も良く,移植床の隅々まで適合良く充填できることがわかった. 2.移植部には腸骨海綿骨と同様に,垂直的な幅が5mm以上の十分な骨架橋が形成され,本方法が有用であることがわかった. 3.腸骨海綿骨移植において骨架橋が良好に形成される為には,大きい移植母床を形成して移植骨を十分に充填しなければならないとされているが,新生骨移植では骨供給量が少ない為に移植できる顎裂の幅に限界がある(最小幅が10mm以上のものは困難と思われる).人工材料の使用等の工夫が必要であることがわかった.
|