研究概要 |
〈対象〉 扁平苔癬:男6例 女3例 計9例 白板症、上皮内癌:男3例 女3例 計9例 上記確定診断診断の得られた15例について採血検査を施工した。また、健常人(男40歳以上、女35歳以上)をコントロールとして男4名 女4名、合計8名についても同様の採血を行った。 〈検査項目〉 1)抗核抗体(扁平苔癬、コントロールのみ) 2)IgG,IgM,IgA(扁平苔癬、コントロールのみ) 3)CD3,CD4,CD8,CD16,CD20,CD25,CD56,CD4/CD8 (全例) 〈結果〉 1)扁平苔癬症例9例中、抗核抗体陽性症例は、認められなかった。 2)扁平苔癬ではIgA上昇症例3例、IgM上昇症例2例で内1例はIgM,IgAともに上昇していた。 3)T検定を施工した結果 CD4:扁平苔癬は白板症より有意に高値 CD8:扁平苔癬はコントロールより有意に低値 CD4/CD8:扁平苔癬は白板症、コントロールより有意に高値 CD16:扁平苔癬はコントロールより有意に低値 CD20:扁平苔癬はコントロールより有意に高値 CD56:扁平苔癬はコントロールより有意に低値であった。 〈考察〉今回の研究では、白板症、上皮内癌とコントロールの有意差はほとんど認められなかったが、扁平苔癬はCD4、CD4/CD8、CD20がコントロールまたは白板症などより高値を示し、CD8、CD16、CD56が低値を示していた。これは、扁平苔癬患者の生体内において、ペルパー/インデューサーT細胞の増加、B細胞の増加、サプレッサー/サイトトキシックT細胞の減少、NK細胞の減少という免疫変動が起こっていると考えられ、従来の局所免疫能の制御だけでは治療は不十分であり、全身免疫能の異常を考慮した治療方法を充分に活用する必要があると思われる。また、扁平苔癬が遅延型アレルギーの1つである可能性も否定できず、今後研究すべき問題であると思われる。
|