研究概要 |
脳シナプス前膜に存在するGABAв受容体に対して,局所麻酔薬はどのような影響を与えるのか明確にする事を目的として実験を行なった。 GABA_B受容体標品はラット脳より調整したP2画分をトリス-塩酸緩衝液で懸濁し,遠心分離を繰り返し行なう方法で調整し,結合実験はHillらの方法に従い行なう方法であった。しかし,GABA_B受容体標品の調整を効率良く行なうためにIshigeらの方法に変更した。すなわち,P2画分を調整し,攪拌と遠沈を繰り返し行なった。この画運を0.02%トリトンX-100を含有したトリス-塩酸緩衝液で37℃,20分間インキュベートし,GABA_B受容体標品とした。結合実験もIshigeらの方法で行い,1mgのGABA_B受容体標品と各種局所麻酔薬(塩酸リドカイン,塩酸プロカイン,塩酸ジブカイン)をKrebs-Hennseleit液と50mMトリス-塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁し,10nM【^3H】baclofenを添加し,20℃で10分間インキュベートした。その後,15,000×gで15分間遠心分離し,上清を捨て沈査を2回洗浄した。その後、蛋白融解剤(Solvable)を200μl加えて,24時間後に【^3H】の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。1mMGABA_B添加時の結合量を非特異的結合量とした。 その結果,【^3H】baclofenのGABA_B受容体に対する結合量は塩酸リドカイン,塩酸プロカイン,塩酸ジブカインの添加で,大きな影響を受けない事が推察できた。しかし,現段階では実験数が少なく,再現性に乏しいため追加実験を行い検討する必要性があると考える。
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