研究概要 |
フッ素洗口による唾液への影響を調べることを目的に、横浜市某保育園において年長組の幼児(5〜6歳)50人を対象としてフッ化物洗口週5回を行い、3ヶ月間における唾液中フッ素濃度およびMutans Streptococciの菌量レベルの変化のついて検討した。フッ化物洗口剤としてミラノール(Dr.Bee社、フッ素濃度250ppm、1回量約7cc)を週5回保育園にて行い、施行前、施行開始1、2、3カ月後に採得した唾液中のフッ素濃度および施行前、施行開始2カ月、3カ月後の唾液中Mutans Streptococci菌量レベルを比較した。 唾液中フッ素濃度の測定はオリオン多機能pH/イオンメーター920A(ORION社)に接続した複合フッ素電極96-09(ORION社)を用い、唾液中Mutans Streptococci菌量レベルはDentocult SMSTRIP MUTANSを用いて測定した。 唾液中のフッ素濃度は低濃度が予測され,それにより測定時に試料に加えるイオン強度緩衝剤(TISAB)の影響が大きいと思われる。そこで唾液中フッ素濃度の測定に先立ち,イオン強度緩衝剤が低フッ素濃度溶液の測定結果に及ぼす影響について調べた。 TISABとしてTISAB III(ORION Research),Low-level TISAB(self-made,ORION Research),TISAB01(TOA)を用い,各TISABをOppmF,0.01ppmF,0.1ppmF,1ppmFに調整した標準液に加え,そのときの電流値を測定した。その結果limiting potentialはTISAB IIIが最も低く,imiting potentialと0.01ppmF時の値はTISAB01を加えたときのみ差を認めた。以上の結果より低フッ素濃度溶液の測定におけるTISABはTISAB01が使用できることが認められた。尚、採得した唾液は同一条件で測定することとし採得後冷凍保存、洗口開始3カ月の唾液採得が行われた後に測定を行うこととした。(平成8年3月採得後測定予定) また,洗口施行前と洗口開始後2カ月後の唾液中Mutans Streptococci菌量レベルの有意な変化は認められなかった。
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