1.当科初診来院者の特徴を把握するために、初診時の問診結果および診査結果をまとめた。 1)問診結果:「当科の認知由来」「当科の来診由来」「歯と歯肉の自覚症状」「歯磨き情報」「歯ブラシ以外の使用器具」「歯磨剤使用情報」「フッ化物配合歯磨剤の使用情報」の問診項目のうち、以下の3項目が特徴的であった。 (1)当科の認知について:「他の診療科で予防歯科を知った」とする回答が56.3%と高かった。 (2)当科の来診由来:「紹介で来診した」との回答が56.8%と高かった。 (3)歯と歯肉の自覚症状について:「歯間にものがつまる」との回答が多かった。 2)診査結果: (1)DMFT-index:年代別の分布の内訳を平成5年度歯科疾患実態調査のものと比較すると、10代、20代を除いた各年齢層で低い値を示した。 (2)CPITNによる各コードの割合:年代別では40代以降、深いポケットのコード4の割合が増加した。部位別では各部位を通じて、最高で歯石沈着のコード2の割合が高い値を示した。 (3)PCR:分布をみると、20%台が20.3%と最も高く、それ以降は減少傾向にあった。 (4)BOP:分布をみると、10%未満が27.6%と最も高く、それ以降は減少傾向にあった。 2.初診時から2年間継続して管理を受けた者の評価について、初診時との比較において有意に減少した。 (1)CPITN:初診時の平均コード2.7から2.3と減少した。 (2)PCR:初診時の平均30%から15%と半減した。 (3)BOP:初診時の平均36%から12%と3分の1に減少した。 (4)なお、DMFT-indexの増加は1.2で、予想より多かった。 3.まとめ 今回、成人の歯周疾患予防管理において、疫学的評価システムとしてCPITNを使用し、以下の結果を得た。初診時から2年間継続して管理を受けた者については、歯周疾患の改善と重症化の防止ならびに健全な歯周組織の維持が可能であることが示唆された。ただし、管理の成果の確認に必要な症例数が不足しているため、今後対象者数をそろえた検討が必要と考察した。
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