研究概要 |
ニトロンとオレフィンとの1,3-双極子環化付加反応について、1、ルイス酸を添加する方法、2、高圧条件下、3、アミンを添加する方法にて検討した。 1、位置及び立体選択性についての変化は今のところ確認されていないが、反応自体の活性化は認められ、今後反応性の低い環化付加反応の収率の改善に活用され得るものと期待される。また、不斉ルイス酸にて反応の活性化も検討したが、現在まで良好な結果は得られていない。 2、環化付加反応の活性化が認められ、反応性の低い双極子環化付加反応についての本条件の有用性を示すことができた。また、僅かではあるが立体選択性の向上が見られた。 3、2-カルボキシニトロンとオレフィンとの1,3-双極子環化付加反応の際、反応系にアミンを添加すると、アミンを無添加の場合と全く逆の立体選択性を示すことを見い出した。この事実は出発物質であるニトロンのジオメトリーに起因するものと考えられ、核磁気共鳴スペクトルの解析により確認された。即ち、2-カルボキシニトロンは通常Z型のジオメトリーであるが、数種のアミンを加えることでカルボキシル基とアミンとの間に静電気的相互作用が生まれ、Z型、E型間の相互変換が可能となり、反応性の高いE型ニトロンとオレフィンとの反応が優先して進行し、逆の立体選択性が発現されたものと推察された。また、キラルアミンの添加を検討しており酸-塩基相互作用に基づく不斉合成に展開しており、現在不斉収率30%程度でイソキサゾリジンが得られている。
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