研究概要 |
Constanolactone類は、紅藻Constantinea simplexより単離構造決定された脂肪酸由来の海洋天然物である。Constanolactone類は、現在まで7種知られているが、その内constanolactone E,F及びGは、その構造が一部を除いて決定されていない。また、これらは脂肪酸代謝物であることから何らかの生理活性が期待される。そこで、constanolactone E及びFを標的化合物とし、その効果的な合成法の開発と合成的手法による構造決定を目的に本研究を行った。Constanolactone EのC-9,-10位で切断し、2つのセグメントA(C-1〜9)及びB(C-10〜20)に分け、最終工程近くでそれらを結合することによりconstanolactone Eを合成する計画を立案し、それに基づき種々の検討を行った結果以下の成果を得た。 1.Sharplessの不斉エポキシ化反応により光学活性なエポキシドを得、それをメシラートに変換後、それにアリルスルホンとブチルリチウムから調整したアニオンを作用させたところシクロプロパンが形成された化合物が生成した。それから数工程を経ることにより、C-1位からC-9位に相当するセグメントAの合成に成功した。 2.2-デオキシ-D-リボースよりWittig反応等により、C-10位からC-20位に相当するセグメントBの合成に成功した。 3.1で合成したセグメントAと2で合成したセグメントBを結合することによりconstanolactone Eの炭素骨格の整った重要合成中間体を得、それからconstanolactone Eの合成に成功した。 以上の様に、constanolactone Eの効果的に合成法を開発するとともにその構造を決定することができた。現在、constanolactone Fの合成を検討中である。
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