研究概要 |
糖の中で最も天然分布の広いグルコースのホモアザアナログの合成に成功した。 出発原料としてグルコースの3,4,5,6-位と同じ立体配置を有するアラビノースを選び、1位以外の水酸基をベンジル基で保護する。この2,3,5-tribenzylarabinofuranoseをmethyl(triphenyl phosphoranylidene)acetateを用いるwittig反応により、二炭素増炭したα,β-不飽和エステル体へと誘導する。このαβ-不飽和エステル体のエステル部分をDIBALで還元し生成する1級アルコールをTBDMS基で保護した後、共存する2級水酸基を立体を反転させ、クロロメタン硫酸エステルへ変換した。得られたクロロメタン硫酸エステル体中のTBDMS基を脱保護した後、生成するアリルアルコール体をSharpless酸化により立体選択的にエポキシドに変換した。さらに本分子内のクロロメタン硫酸エステル基をSN^2反応でアジド置換した後、還元条件でアジド基をアミノ基に変換すると、本アミノ基のエポキシドへの分子内求核攻撃が同時に進行し、環化生成物が収率良く得られた。最後の保護基であるベンジル基を接触還元条件下で脱保護を行い、目的とするホモアザグルコースの合成を達成した。本ホモアザグルコースの側鎖部はgem-ジオール構造をとっており、過ヨウ素酸酸化とそれに続く還元的アミノ化によりホモアザグルコサミンアナログへも変換できる。本合成スキームは他の糖類の合成にも適応できる一般性の高い方法論である。
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