研究概要 |
我々は既にHMG-GoA reductase inhibitor,pravastatin(Prav)が肝臓に能動的に取り込まれること、この機構による取り込みが実際のin vivoにおける本薬物の肝取り込みに相等していることを明らかにしてきた。今回in vivo infusion実験を投与速度(I)を幅広く変えて行い、本薬物の定常状態における全身クリアランス(CLtot)、肝総消失速度(Vh)の、血漿中濃度(Cp)に対する変動、およびその要因について検討した。 Cp>10μMにおいてCLtotはCp依存的に顕著に低下した。定常状態における肝からの消失を、肝静脈血漿中薬物濃度を測定して評価したところIの上昇に伴い肝抽出率に明確な非線形性が観察された。Vhはparallel-tube modelにおける肝固有クリアランス(CLint,all)を定義する臓器血液中濃度であるログ平均濃度に対してMichaelis-Menten型の飽和性を示した。Km, Vmaxを算出すると、in vitro遊離肝細胞系より得られたパラメータと極めて近い値となった。この結果は、Pravが能動輸送により効率よく取り込まれ、かつ速やかに代謝・排泄をうけるため、取り込み過程がCLint, allを支配していることを意味している。 以上、Pravのin vivo定常状態における体内動態には非線形性が観察され、そのうちCp100-200μMにおける飽和は肝への能動輸送による取り込み過程の飽和で説明できた。Pravはその薬効発現における標的臓器であり、かつ体内動態を規定している肝移行動態が、能動輸送による取り込み過程で説明できる例であることが明らかとなった。
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