研究概要 |
1.抗C3a/C4a受容体抗体の作製 C3a/C4a受容体をコードするcDNAをクローニングするために,抗体を用いたスクリーニング系の確立を計画した。はじめに,未だ作製されていない抗C3a/C4a受容体抗体を得るために,リガンドのレセプターに対する結合部位に相当するアミノ酸約15残基程度のペプチド(C3a-peptide)を合成して,リガンドに対する抗体(イディオタイプ)から,その受容体に対して特異的に反応する抗体(抗イディオタイプ)の作製を試みた。まず、抗原性を高めるためにC3a-peptideをキャリアタンパク質に結合させてウサギに免疫した。得られた抗血清から,C3a-peptideに対して特異的なイディオタイプ抗体を精製した後,マウスに免疫して,C3a/C4a受容体に反応するモノクローナル抗体を,蛍光標識したC3aの分化THP-1に対する結合阻害活性を指標にしてスクリーニングした。約2000クローンのハイブリドーマをスクリーニングしたが,陽性のクローンを得ることが出来なかった。そこで次に,抗原(C3a/C4a受容体)そのものの精製を試みた。C3a-peptideを固定化したゲルを用いてアフィニティクロマトグラフィーを行い,分化THP-1の細胞膜画分に含まれるpeptide結合タンパク質を精製した。これを抗原としてマウスに免疫し,上記と同様な方法を用いてスクリーニングを行ったが,C3a/C4a受容体に対するモノクローナル抗体は得られなかった。この結果は免疫した抗原量が少なかったことによると考えられたので,現在,分化THP-1の細胞膜画分の大量調製を行っている。 2.サブトラクションcDNAライブラリーの作製 これまでに我々はTHP-1細胞を分化誘導すると,C3a/C4a受容体の発現レベルが増加することを見いだしている。そこで、より効率の良いスクリーニングを行うために,分化および未分化のTHP-1より調製したmRNAをもとにサブトラクションcDNAライブラリーの作製を試みている。
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