様々なヒト線維芽細胞を用いてインターフェロンによる細胞増殖の抑制時におけるRBのリン酸化および共沈タンパク質を免疫沈降法を用いて検討した。その結果、多くの線維芽細胞でRBのリン酸化が起こっているにも関わらず細胞増殖の抑制が観察された。これは、線維芽細胞においてインターフェロンによる細胞増殖抑制機構は、RBを介さない経路で起こっていることを示唆させる結果であった。さらに、インターフェロン処理した様々な線維芽細胞では約80KDa付近にRB抗体で免疫沈降されてくるタンパク質が検出された。つまり、80KDaのタンパク質が多くの細胞でインターフェロン処理によって誘導され、細胞増殖の抑制に関与している可能性が考えられた。この時、IFNβで処理した細胞ではDNA合成が抑制されていることも同時に確認している。これらの結果から、当研究の目的とするインターフェロン誘導性80KDaのタンパク質は様々な細胞で検出されたことから重要である可能性を確認できた。Two hybrid systemを用いてRBタンパク質と結合するタンパク質をクローニングするためRB融合タンパク質をDNA組換え法により作製した。スクリーニングに必要なインターフェロン処理TIG-3細胞由来のcDNA libraryをリンカープライマー法によって作製した。これらを用いRBと結合するタンパク質をスクリーニングしており、いくつかその候補が得られているがin vitroでのタンパク質相互作用の確認までには至っていない。今後、これらのクローンについて詳細に検討する予定である。
|