研究概要 |
[方法](1)アフリカツメガエル卵母細胞に、各種の受容体、Gタンパク質、及び細胞質ホスホリパーゼA_2(cPLA2)のcRNAを注入し、発現させた。細胞を刺激して、遊離したプロスタグランジンE_2(PGE2)の濃度を測定した。また、細胞を破砕後、遠心し、上清及び沈殿のPLA2活性を測定した。(2)以下の改変cDNAを作製し、上と同様の実験を行った。 (i)cPLA2cDNAのHind III部位(1798)に終止コドンを挿入 (ii)cPLA2cDNAのKpn I部位(1078)からHind III部位(1798)までを削除 (iii)cPLA2cDNAのSac I部位(1555)からHind III部位(1798)までを削除 [結果](1)cPLA2 cRNAを注入した卵母細胞の上清のPLA2活性は、0.1nmo1/min/mgだった。注入しない場合には、活性はほとんどなかった。改変cPLA2 cRNAを注入した場合の活性は、野生型の場合より低かった(2)M_2ムスカリン性アセチルコリン受容体(M_2mAChR)と、G_<i3>α又はG_oα又はG_zαと、cPLA2を発現させた場合、アセチルコリン刺激でPGE2の遊離が上昇した。Gタンパク質として、G_<il>α又はG_<i2>α又はG_sαを用いた場合は、上昇しなかった。これらの結果から、M_2mAChR-G_<i3>α,G_oα,G_zα-cPLA2という情報伝達系が存在することがわかった。また、ブラジキニン受容体又はδ-オピオイド受容体と、G_<i3>αと、cPLA2の組合せでも、ブラジキニン又はエンケファリン刺激でPGE2遊離が上昇した。(3)M_2mAChRと、G_<i3>αと、改変cPLA2を発現させた場合、細胞を刺激しても遊離PGE2の上昇はみられなかった。
|