我々は漢方薬として用いられているセンソ中のブファリンがヒト癌細胞に対してアポトーシス誘導能をもつことを見い出し、それにともなうアポトーシス関連遺伝子の変化や分子レベルでのアポトーシス誘導機構についての解析を行った。本研究によって以下の(1)-(2)を明らかにした。 (1)アポトーシス関連遺伝子の解析 アポトーシスの誘導や抑制に積極的に関与していると考えられる遺伝子(myc、bcl-2)とブファリンによって誘導されるアポトーシスの関係をノーザンブロットにより解析したところ、ブファリン処理によってこれらの両遺伝子の発現はアポトーシスの誘導とともに減少した。ヒト白血球細胞U937に発現ベクターを用いてbc12遺伝子の強制発現を行った株では、ブファリンによるアポトーシス誘導の優位な抑制が見られた。 (2)アポトーシスの誘導に関与する新しい遺伝子のクローニング ブファリンにより特異的に誘導される遺伝子群のクローニングをデイファレンシャルデイスプレイ法を用いておこなった。現在いくつかの遺伝子のクローニングに成功しており今後これらの遺伝子の解析を進めていきたいと考えている。
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