研究概要 |
ポリプリン/ポリピリミジン配列を含むクローン化DNAを,プラスミドpTIR10をプローブとして用い,ヒト21番染色体由来コスミドライブラリーから多数分離した.これらのコスミドクローンを制限酵素で切断し,サザンブロットハイブリダイゼーションを行い,ポリプリン/ポリピリミジン配列を含むDNA断片を同定し,その部分塩基配列を決定した.この配列情報から,プライマーDNAを設計し,ヒト21番染色体の各部分を含むヒト/CHO雑種細胞由来ゲノムDNAを用いて,それらの染色体領域マッピングを行った.この結果,クローンcGA3は長腕端部,cGA6は短腕部にマップされた.現在,細胞培養中にBr-dU標識を行ったゲノムDNAを用いて,当該領域のDNA鎖合成方向について検討中である. クローンcGA3に隣接する染色体領域では,約0.5Mbにわたるコスミドコンティグが作成されており,さらに,この領域は遺伝子の存在頻度が高いと推定されている.そこで,この0.5Mb領域の中で,ポリプリン/ポリピリミジン配列の存在をしらべた.その結果,この内部に少なくとも3ヶ所のポリプリン/ポリピリミジン配列がマップされた.現在,上述のDNA鎖合成方向を検討するため,近傍の塩基配列決定をすすめている.また,この領域の細胞内存在状態を知るため,単離細胞核をヌクレアーゼ処理し,クロマチン構造の解析を行っている.
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