研究課題/領域番号 |
07772238
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
安屋敷 和秀 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10167968)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ウサギ、イヌ摘出動脈 / 血管内皮細胞 / ずり応力(shear stress) / 一酸化窒素合成酵素(NOS) / 細胞内カルシウム / 細胞内pH / チロシン燐酸化 / 細胞内情報伝達系 |
研究概要 |
内皮の正常な摘出ウサギ腸骨動脈およびイヌ腸間膜動脈を用いてドナー(donor)標本を作成し、これを組織容器に装着、管腔の内外を別々の栄養液で灌流し、実体顕微鏡により動脈の外径変化を記録した。内皮を除去したウサギ大動脈およびイヌ腸間膜動脈輪状標本を作成し、アッセイ(assay)標本とし、ドナー標本の内腔を灌流した栄養液をアッセイ標本に導き、その等尺性張力変化を記録した。 ドナー標本の外膜側に血管収縮物質を投与したところ、ドナー標本は収縮し、同標本の灌流液はアッセイ標本を弛緩した。同弛緩はドナー標本の収縮に同期していた。ドナー標本の内皮除去ないし一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬処置によって、弛緩は消失した。このことから、動脈収縮に伴って生じる血管内皮細胞に加えられたずり応力(shear stress)が、同細胞よりNOを産生・遊離し、アッセイ標本を弛緩すると考えられた。 灌流液中のカルシウム除去により、アセチルコリンを用いた受容体刺激によるNO遊離は消失したのに対し、ずり応力によるNO遊離は影響されなかった。したがって、受容体刺激によるNOSの活性化は細胞外カルシウムに依存するのに対し、ずり応力による同酵素の活性化は細胞外カルシウムに依存しないことが明かとなった。他方、ずり応力によるNO遊離は、Na^+-H^+ポンプ阻害薬処置によって抑制され、培養内皮細胞において同阻害薬が細胞内カルシウムの変化を伴わない細胞内pHの低下を引きおこした事実から、細胞内の酸性化がずり応力によるNOSの活性化を抑制すると考えられた。さらに、チロシンキナーゼ阻害薬がずり応力によるNO遊離を抑制したことから、血管内皮に加えられた物理刺激からNOSの活性化に至る細胞内情報伝達系において、チロシン燐酸化の過程が介在すると考えられた。
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