精神分裂病患者の病気の捉え方、病状の変化の捉え方、患者なりの病状悪化への対処方法について得られたデータについて内容分析を行った結果次のことが明らかになった。 1.病気の捉え方:精神分裂病患者は、(1)症状、(2)病因、(3)生活の変化、(4)病気の見通しの4つの側面から自分の病気を捉える傾向にあった。 2.病状の変化(悪化)の捉え方:精神分裂病患者は、病気の捉え方には、「幻聴がうんと多くなったり少なくなったりする。」に代表されるような(1)症状の量的変化の捉えや、「病気の出方には2つあってひとつは色々な人に私の考えがばんばん伝わる状態で、もう一つは何もできなくなる状態」に代表されるような(2)症状の種類の捉え、「仕事上のストレスが大きくなると異常な世界へ入っていく」に代表されるような(3)影響要因の変化の捉え、「4月23日24日という日はよく入院になる日」に代表されるような(4)時期的変化の捉え、「朝コーヒーを飲んでいて、周りで人が話しているのが自分のじゃまをしているような気がしてきたら、具合が悪くなることのはじまり」に代表されるような(5)生活行動の変化の捉えがあった。また、大変多くの患者が、病状の変化は突然で予測がつかないと捉える傾向にあることがわかった。 3.対処行動:精神分裂病患者の病状の変化に対する対処方法には、(1)入院、(2)我慢、(3)自然にまかせる、(4)休む、(5)無理をしない、(6)生活を整える、(7)宗教、(8)魔術的な行動、(9)他のことに集中する、(10)避ける、(11)助けを求める、(12)薬を飲むなどの行動があることが明らかになった。患者の中には、独自の対処行動を持ちながら病状の悪化はどうしようもないと捉えているもの、逆に、なんとか病状をコントロールしていけるのではと捉えているものがいた。
|