研究概要 |
青年期(6週齢)雌のBALB/Cマウスにおいて1)飼料中にタンパク質源としてβ-ラクトグロブリンだけを含むLG食を与えるLG群,2)飼料中にβ-ラクトグロブリンを含まない一般的な飼料MFを与える対照群を作成し、餌・水ともに自由摂取で17週間飼育した。[血液中抗β-ラクトグロブリンに対するIgG,IgM,IgA値の経時的変化]1週間ごとに各群のマウスの眼窩静脈血を採血した。血液中の抗β-ラクトグロブリンに対するIgG抗体価はLG群において実験開始2週目より上昇し始めた。実験開始3週目には1週目から2週目よりさらに大きく上昇した。その後も上昇が続いた。実験開始16週目からそのまま上昇した値を示すマウスに混ざって15週目とほとんど同じ値またはやや低い値を示すマウスもあったが、全体としてはやや上昇していた。対照群では飼育開始日から変化はなかった。血液中の抗β-ラクトグロブリンに対するIgM,IgA抗体価はLG群,対照群ともにほとんど同じ値で飼育開始日から変化はなかった。[脾臓細胞の抗β-ラクトグロブリンに対するIgGならびにIgMそれぞれの抗体産生細胞数]実験開始3週目のマウスでエリスポット法にて測定した。IgGについては対照群・LG群ともに同じ位の数を示し、IgMは対照群で、LG群に比し有意に多かった。[脾臓細胞、腸上皮間リンパ球(IEL)、パイエル板リンパ球(P.P.)をそれぞれβ-ラクトグロブリンとともに培養したときの細胞の増殖量]抗体産生細胞数の測定を行った同じマウスについてMTT法にて測定した。LG群の脾臓細胞、P.P.では、対照群に比し有意な差はなかったもののやや高い吸光度を示した。IELでは差はなかった。今後さらに経時的に抗β-ラクトグロブリンに対する抗体産生細胞の数や培養時の増殖の変化を観察する予定である。
|