環境保全対策の立場から有機溶剤を使用したドライクリーニングにかわって、今後増加すると思われるランドリー(水洗い)に対応した仕上げ加工剤として有機変性シリコーンオイルを取り上げ、最近急増した新素材ポリエステル繊維(超極細繊維・異形断面繊維)を対象に、防汚加工剤としての実用性を検討した。更に、単繊維の太さ・形状の違いによる汚れの付着状態を明らかにすると共にシリコーンオイルの平衡剤としての表面改質効果(風合い改良効果)、繊維内部表面のコーティング効果についてX線マイクロアナライザー(EPMA)を用いた面分析により解析を行なった。 1.表面形状の異なる新素材繊維として超極細繊維(鐘紡・ナスカ)・異形断面繊維(東レ・デシン)を使用し、更に比較サンプルとして表面構造の単純な通常のポリエステル布3タイプについて、環境暴露による汚染処理、天然汚れに類似した水を分散媒とした汚染浴中に浸漬処理した場合の汚れの付着状態を、湊の方法^<1)>を用いて基質自身の反射率から算出した汚染率とSEMによる観察結果により、新合繊は通常のポリエステル布に比較して汚れが付着し易く、特に表面形状の複雑な異形断面繊維では汚れやすい特性を示した。SEMの観察からも、汚れ成分は織り組織間よりも糸および単繊維間に付着し易い傾向を示した。 2.有機変性シリコーンオイル処理をおこなうことによって、単繊維の構造に関わらず効果的な防汚性を示した。また、EPMAを用いたSiの面分析の結果、有機変性シリコーンの繊維表面への吸着状態は単繊維の形状・太さに関わらず均一な加工処理が施されていることを確認した。
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