研究課題/領域番号 |
07780029
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
家政学
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研究機関 | 県立新潟女子短期大学 |
研究代表者 |
姉歯 暁 県立新潟女子短期大学, 生活科学科・生活福祉専攻, 講師 (40259221)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | サービス化 / 消費のサービス化 / 対消費者サービス価格 |
研究概要 |
この研究においては、まず、各業界から出されている業界内部の調査ならびに総務庁統計局の「サービス業統計総覧」、唯一実証的に調査を行っている国民生活センターの資料を中心として抽出可能な対消費者サービス業についてのみ経済学的な検討を行った。様々な例を検討したが、そのうちのいくつかの例によって説明を加えるならば、まず、挙式・披露宴サービス料金であるが、そのうちほとんどは料理・飲み物料金という財の購買と衣装レンタルという財のレンタルに要される費用であり、さらに個別には数字がつかみにくいとはいえ、会場利用料(会場建物の地代+減価償却費+建物の付帯設備の減価償却費)がかなり費用の中に含まれるのは明白であることからも、我々がサービスとして分類している挙式・披露宴サービスにおいて、労働サービスに対する支払いはかなり少ない。また、代表的サービス産業とされる外食産業界においても、売り上げの上位を占めるファーストフードショップなどでは、我々は産業的に大量に調理されたハンバーガ-という財を受け取る際に若干の小売り労働を提供されているにすぎず、その労働は自動販売機が代位したとしても事足りるほどのものでしかない。それは流通過程において必要とされる労働なのであって、実際には、そこへの支出は対人的サービスに対するものではなく大量生産され画一化された財を購入するために料金を支払っているにすぎない。その結果、次のように結論づけることができる。サービス消費支出が増大していることについて、家計支出との関係において検討した結果、対消費者サービスの各品目の価格構成に注目すると、そのほとんどは労働サービスではなく耐久財賃貸すなわちリ-ス・レンタルの要素にたいする支払いであるという点がわかった。さらに、検討を重ねていくと、消費のサービス化とは消費者の支出の方向が財からサービスへと移り変わっているのではなく、必要な財を購買していたものが賃貸へと切り替えたにすぎないということがわかる。したがって、消費のサービス化という事象が財の減少・無形財としてのサービス商品の増大を表すのではなく、ますます財生産を促進し、工業化社会の拡大をもたらすことになり、したがって資本主義的生産様式をもとにした論理はいまだ貫徹するであろう。
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