研究課題/領域番号 |
07780044
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
篠原 稔 東京大学, 教養学部, 助手 (70241213)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 筋疲労 / 筋電図 / フラクタル / 周波数分析 / 等尺性収縮 |
研究概要 |
本研究では等尺性筋収縮中の表面筋電図のフラクタル解析を試み、筋疲労評価におけるフラクタル解析の意義を明らかにしようとした。20〜30歳代の一般健常男性6名を被検者とした。被検者は座位姿勢をとり、上腕を水平に、回外した前腕を肘関節110度にしてそれぞれ固定し、等尺性での肘屈曲を行った。まず、随意最大収縮力(MVC)の測定を行い、次に60%MVCで3秒間収縮、2秒間弛緩を1試行とする運動を疲労困憊に至るまで連続的に繰り返した。このとき上腕二頭筋より表面筋電図を双極誘導し(電極間距離1.5cm)、生体信号増幅器を用いて増幅した。運動中の力および表面筋電図は、同時にデータレコーダに記録した。測定終了後、各被検者の運動継続時間を元に、その時間の10%間隔の試行のデータを、A/D変換器を介してコンピュータにサンプリング周波数1kHzで取り込んだ。フラクタル次元(FD)の算出では、座標の尺度に依存しないHiguchi (1988)の方法に基づき、変曲点の認められるデータ間隔8msecまでの傾きを用いた。運動開始時のFD、平均振幅(Amp)、平均周波数(MPF)はそれぞれ1.405±0.048(mean±SE)次元、0.312±0.050mV、116.1±8.8Hzであった。FDとMPFは運動の継続(疲労)に伴って直線的に低下し続け、運動終了時にはFD=1.206±0.034次元、MPF=74.85±6.7Hzであった。Ampは運動継続時間の40%程度までは増加したがその後は変化が少なく、終了時は0.536±0.0867mVであった。FDは、Ampとは有意な相関はなく(r=0.180)、MPFと極めて高い相関があった(r=0.966)。以上より、図形の複雑さの指標であるフラクタル次元は、平均周波数と同様に疲労に伴って直線的に低下することが明らかになった。フラクタル解析の容易さと計算時間の短さを考えると、これまで行われてきた周波数分析よりも簡便な手法として、筋疲労の評価に用いることができる可能性が示唆された。
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