研究概要 |
筋が収縮するためには,筋内に貯蔵されているATPが必要であり,収縮と同時にATPの再合成がなされている.このATPの再合成システム(ミトコンドリア酸化能力)が低下することは筋の運動能力の低下につながるので,この能力が加齢による影響を受けるかどうかについて検討することが求められており,本研究が企図された. 本研究の特徴は,非侵襲的に筋の酸化能力を測定できる近赤外線分光法を用い,筋生検との関連を検討したことである.この方法は,生体に無害である2つの異なる波長の光を生体に照射することにより,組織内のヘモグロビンに酸素がくっついているか,そうでないかを連続的に測定することが可能な装置である.その結果,近赤外線分光法による運動中の酸素利用能と筋生検により得た筋組織を生化学的に分析したCS活性との間に一定の関係が得られた.一方,筋線維組成との間には,相関関係が認められなかった. したがって,この方法により,筋生検を用いなくとも,近赤外線分光法により筋のミトコンドリア能力を評価しうることが明らかにされた.そして,現在加齢との関係を検討中である.
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