研究概要 |
健常男子5名(19〜24才)が被験者として本実験に参加した。彼らは実験用椅子に椅座し、右膝間接90度屈曲位,股関節70度屈折位で固定された状態で、右膝間接における伸展力発揮が課された。その運動課題は、等尺性の随意最大収縮(MVC)による力発揮後、瞬時の力発揮を様々な力レベル(10〜80%MVC)で約100回試行することであった。表面筋電図は内側広筋,外側広筋および大腿直筋より、力信号は足関節部よりそれぞれ検出された。 その結果、収縮時間および筋放電時間は、50%MVC以下では力ピークの増加に対し変化が小さくかつばらつきも小であり、60%MVC以上では力ピークの増加とともに顕著に延長しかつばらつきも大となった。時間当たりの放電量は、50%MVC以下では力の増加と共に直線的に増加し、60%MVC以上では増加を見せず大きくばらついた。また、今回採用した運動課題においては、発揮された力の方向は試行間で大きな差が観察されなかった。 以上のことから、本方法による瞬時の力発揮では、「力レベルが60%MVCを超えると新たな制御要素が神経的に付加される。」ことが示唆された。 尚、本研究の成果の一部は、第50回日本体力医学会において発表された。今後、更に継続的な研究の必要性があると考えられる。
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