研究概要 |
本研究では、第11回冬季オリンピック札幌大会について、オリンピック施設の大会後の移管及び利用状況に関して施設管理者への面接調査等を行い、オリンピック施設の大会後の運営の仕方や地域スポーツ活動への還元の仕方等の観点より、既に資料を収集した第15回冬季オリンピック・カルガリ-大会との比較を行った。 札幌の場合は、大会後の管理はアルペン競技及びボブスレ-競技会場を除き国や道、札幌市といった公的な運営の仕方であった。すべての施設は建設前に後利用も十分考慮したうえで建設されたが、国際大会も行える大型スポーツ施設の考朽化のため現状維持には莫大な費用が必要であるが、それらの利用者数は地域住民のスポーツに対するニーズの変化・多様化によりおおむね横ばいあるいは減少傾向にあった。それぞれの施設では、多様なスポーツプログラムを用意したり、観光名所としての施設の整備など、広く活用できるような工夫がみられた。 一方、カルガリ-では、州や市あるいは民間,カルガリ-大学,CODA(Cauada Olympic Development Association)等の様々な管理形態がみられ、大会運営によって得た収益を基金として管理しているCODAからの資金援助もみられる。これらの施設は、まだ大会後あまり時間が経っていないこともあり、非常によく活用されていると思われる。 我が国において1988年に第18回冬季オリンピック長野大会が開催されるが、大会の招致,施設建設,大会の運営に莫大な費用をかけるのでなく、その後の施設等の運営の仕方や地域住民への還元の仕方をまず十分に考慮する必要があろう。
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