研究概要 |
本研究では、ビデオカメラにより録画された授業の記録(以下,「映像記録」と呼称する)に,ショット分析を適用し,撮影者の授業観察視点の抽出を行った。ショット分析は,映像記録ショット(何を被写体としてどういうフレームサイズで撮影をしているか)に着目し,映像記録を「基本カテゴリー」と「サブカテゴリー」の枠組みに基づいて記述し,個々のショットと撮影者の有する子ども観,教材観,授業観等との関連を分析するものである。 研究は,次のような経過で進めた。 1.授業観察視点に関するカテゴリーの設定:フレーム検討視点群(浦野・平山,1995)の一部を修正した「発現者の有無」「フレーム内に捉えられている対象」「フレーム内の対象と発言者とはどんな関係か」等のサブカテゴリーを設定した。 2.授業の録画:秋田大学教育学部付属小学校において,授業を録画し,プロトコールを作成した。その際に,撮影者の授業の観察視点を検討するために,撮影している様子を別の位置からビデオカメラにより録画した。 3.映像記録の検討:撮影者が教育実習性と現職教員による映像記録を対象に,撮影者としての授業観察視点を比較,検討した。その結果,対象とした教育実習生の授業を観察する視点として,「一連の教授行動として授業場面を認知できる能力」の育成が必要であることを明らかにした。
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