本研究では、聴覚障害者の専門教育における高度な教育を行うために、コンピュータを利用して聴覚障害者の学生に視覚的にわかりやすいアニメ・ビデオ提示システムおよびデータベース教材の開発を行ってきた。その提示システムを機械工学専門科目の1つである熱工学の講義に利用して、その結果について検討した。 1.提示システムの製作:(1)コンピュータ上に画像、映像、アニメーションを取り込み、提示できるようにした。これと併せて、コンピュータを連動し容易に提示できる画像、映像等も扱えるようにシステムを構成した。(2)カメラ等の撮影画像をカラースキャナーを用いて、またビデオやテレビ等の映像はビデオ編集ソフトを用いてデータベースを作成した。(4)手話で表現できない事柄や位置の変化や時間の流れに伴う図については、アニメーション作成ソフトを用いて、簡単に説明ができ、学生が見て分かりやすくできるようにアニメーションを作成した。(5)検索してすぐデータを引き出せるようにデータベースを作成した。 2.結果・検討:機械工学専門科目の1つである熱工学の講義に利用した。講義の流れ、学生の発問に合わせて、その内容に対応する画像や映像等を繰り返し提示しながら説明した。その結果、手話では表現できない事柄や位置の変化や時間の流れに伴う図や映像の説明がこのシステムにより簡単に行え、学生が集中して映像から情報を取り出そうする態度がみられるようになった。また、その映像で学生が理解できたことにより講義がスムースに行え、以後講義中に学生の質問が活発になり、積極的に知識を獲得しようとする態度が頻繁にみられるようになった。
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