研究概要 |
本研究は,小学校低学年の「生活科」の授業研究を行うために,授業の観察および分析の手法を開発することを目的とした。そのために,六つの小学校に依頼して,授業の参観および記録の作成を行った。 研究対象とした小学校は,(1)茨城県内の公立小学校2校,(2)茨城県外の公立小学校2校,(3)国立大学附属小学校2校であり,合計20時間あまりの授業について,それぞれ,学習指導案,教材を収集した上で,授業を観察し,担当教師へのインタビューや質問紙による調査を行った。 これらの授業の記録は,大半をVTR資料として整理するとともに,分析対象とした2時間分については,音声を文字化して記録とした。この2時間分については,担当教師へのインタビュー(授業A)ないしは質問紙による調査(授業B)を行ったものであり,授業案や教材と併せて,教師の授業設計段階から実施,その後の評価に至る過程を明らかにできた。ここで分析対象とした授業A,Bは,いずれも茨城県公立小学校の事例であり,ティーム・ティーチングによる生活科の授業であるが,授業Aはベテラン教師,授業Bは教職経験2年目の教師によるものである。インタビューおよび質問紙による調査から,(1)それぞれの授業場面を意識しながら,教師はできるだけ子どもの活動に即した即時的な対応を心がけていること,(2)授業Aでは,個別対応の成果を全藍に対する働きかけにも生かしているのに対して,授業Bでは,個別活動を重視していること,が明らかにされた。
|