研究概要 |
計算機の発達にともない空間的・時空間的な構造をもつデータの解析が多く試みられているようになってきている.このようなデータを取り扱うため空間的・時空間的なモデルを利用した統計的解析を考える場合に現れる問題についての研究を行った. なかでも,広く利用されている空間モデルのひとつである格子上のガウス過程のモデルを考える際に現れるいくつかの問題について研究を行った.特に,時系列における自己回帰モデル,およびその多次元版と見なせるCARモデルの場合についての推定と空間的な予測について研究した. 1.独立同一分布の場合に予測分布の方法として知られているアプローチがある.この考えを拡張した空間的な予測方法を新たに提案した.これは,あるクラスの広く利用されている空間的な予測法を改良するものである.微分幾何学的なアプローチを有効に利用してこれらの手法の性質を理論的に研究し,提案した手法の漸近的な最適性を示した.空間的な現象を考える場合,多量のデータを取り扱う必要が生じるためハードディスク,MOドライブ,メモリ素子を導入して計算機環境を整備しつつ,シミュレーションによる研究を平行しておこなった.シミュレーションによる有限個のデータの場合の評価を行い,実際に予測精度が改善されることを示した. 2.基本的なモデルの推定量の性質について研究した.とくに,最尤推定量をはじめとするいくつかの代表的な推定量の漸近的な性質について比較,考察した.
|