研究概要 |
本研究はネットワーク上の通信スケジューリングのアルゴリズムをグラフ理論、特に彩色アルゴリズムの応用により研究開発するものである.ネットワーク上の通信グラフにモデル化する.グラフ上の各点はコンピュータセンターに,多重辺はコンピュータセンター間の通信要求に対応する.各コンピュータセンターuは同時に通信できる最大数f(u)が定められており,各コンピュータセンターu,w間には同時に使用できる回線の最大数g(uw)が定められているとする.このときf(u),g(uw)の条件を満足し、同時に通信可能な辺を同一色で塗る。このようにしてグラフをなるべく少ない色数で彩色することは通信要求を満足する効率のよいスケジューリングに相当する。 本年度は、上記のモデル上で各コンピュータセンターの通信負荷が常にほぼ一定となるようなスケジューリングアルゴリズムを開発した.通信負荷がほぼ一定であるということは、通信負荷をなるべく時間的に均一に分散させ、その計算機を他の目的にも使用するとき、処理能力の変動をすくなくするということであるので望ましい性質である.また、これまでに得られた主な研究成果を論文としてまとめ、電子情報通信学会論文誌で発表することができた. しかし、現実の問題では通信のスケジューリングは各コンピュータがそれぞれ独立に行うのが望ましく、全てのスケジューリングを集中管理することは非現実的である.よって、来年度は通信スケジューリングの分散アルゴリズムの研究開発にとりくむ.
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