研究概要 |
本年度の研究では,機能分散(非対称)マルチプロセッサシステムのためのリアルタイムカーネルの実装ならびに評価を行った. 具体的にはまず,これまでの研究で提案を行ってきたリアルタイムカーネル仕様の内,ローカルクラスとプライベートクラスの2つのタスクのクラスを実現したマルチプロセッサ用リアルタイムカーネルの基本部分(タスク管理部分)実装を行った.その際に,これまでの研究で提案を行ったアルゴリズムを使用した.また,性能比較のために,従来の方法を使ったものも用意し,合計で4種類のリアルタイムカーネルを実装した. 次に,実装した4種類のリアルタイムを用いて,プロセッサ間の同期・通信にかかる時間など,カーネルの基本的な性能の測定を行った.性能評価を通じて,従来の方法では得られなかった性能が,これまでの研究で我々が提案してきた仕様およびアルゴリズムを用いることで可能になっていることを示すことができ,その結果,これまでの研究の提案の有効性を検証・評価することができた. また,これらの実装・評価作業の中で,これまでの研究で提案してきたアルゴリズムだけでは不十分であることが明らかになった.そこで,新たに必要とわかったアルゴリズムについても研究を行った.そのため,リアルタイムカーネルの完成は,来年度の課題として残りことになった.
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