研究概要 |
緩和されたメモリコンシステンシモデルはリモートアクセスレイテンシの隠蔽手法の一つであり、近年いくつかの方式が考案された。この中の一つに、研究代表者が考案したレイテンシ隠蔽能力が最大クラスであり実装コストが小さいと予想されるエラスティックコンシステンシモデルがある。本研究では、そのエラスティックメモリコンシステンシモデルの具体的な実装法の検討,実装による実証、モデルの予備的評価を目的としていた。当初実装を市販のワークステーションに市販のATMカードを搭載した計算ノードを3〜4台接続したワークステーションクラスタ上に、エラステックメモリコンシステンシモデルを実現可能なデバイスレベルの通信ドライバを自作実装して行う予定であった。しかし、ATMカードの内部資料や技術資料をATMカードメーカから開示してもらうことが不可能であったため、高速シリアル通信カードを設計作製することにした。交付された予算の大半はこの通信カードの主要部品である1Gbpsの光通信モジュールの購入に当てられた。光通信カードを新規に作製することになったため、エラスティックメモリコンシステンシモデルの実装に関する研究計画は当初通りには進まず、現在光通信カードを鋭意作製中である。一方、モデルの予備的評価に関する研究では、各種メモリコンシステンシモデルに関する定性的比較や各種メモリコンシステンシモデルが使用可能な分散共有メモリマルチプロセッサのシミュレータの作成が行われた。シミュレータ作成に関しては現在デバッグ状況で定量的な評価がなされるまでは至っていない。ワークステーションクラスタ上のエラスティックメモリコンシステンシモデルの実装完了、実験データ採取、シミュレータ上の定量評価等がなされた時点で、成果を順次公表していく予定である。
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