本研究は、継続の概念を分散計算に導入することによって、分散計算における通信構造の統一的な理解を得るとともに、分散言語の通信構造を自由に拡張できるような枠組みを構築することを目的としている。研究テーマとして、(1)継続の概念を導入した並行計算モデル理論の構築、(2)継続をテーマとして扱えるような分散言語の設計、(3)その分散言語の実装を掲げた。(1)については、ラムダ計算とActor理論を組み合わせた新たな理論的モデルを構築し、その上で上記計算モデルの操作的意味を与えた。(2)についてはHarmony/2と名付けたプログラミング言語を設計し様々な記述実験を通して理論の実際面での有効性を確認した。(3)については、本研究費で購入したワークステーション上に、Lispへのコンパイラを実装し試用している。研究計画当初に予定していた、分散環境下での実装については残念ながら至らなかったが次年度以降のテーマとしていきたい。研究発表としては、現在、2つの論文が投稿中、1つが執筆中である。
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