研究概要 |
本研究では、マルチユーザインタフェース,スクリプティング,分散GUIアプリケーション,ペンジェスチャ,障碍者インタフェースといった高度なユーザインタフェース技法の統合的な実現モデルを提供する、次世代のウィンドウシステムを構築している。本年は、このウィンドウシステムを実現するための、次の二つの基盤技術を開発し、その有効性の実証を行った。 まず第一は、高度なユーザインタフェース技法を従来よりも容易にかつ統合的に実現するフレームワーク、ソフトウェアアーキテクチャの開発と評価である。第二は、その枠組を現実の計算機環境上で効率良く実現するために必要なアルゴリズムやデータ構造等の実装技術の開発と評価である。 第一のフレームワークとして、共有対話オブジェクト方式を提案した。このフレームワークでは、GUIアプリケーションは,構造化分散共有記憶として実装された対話オブジェクトの格納庫と、それを共有し分散協調する複数のタスクからなる、独創的なアーキテクチャによって実現される。このアーキテクチャの開発は、以前より継続的に行ってきており、本年は、その定量的な性能評価まで終えることができた。その成果は、コンピュータソフトウェア、Human-Computer Interactionに掲載された論文により公表した。 第二に挙げた計算機環境上での効率的な実現方法に関しては、特にマルチユーザインタフェースへ特化して実装する場合を中心に研究を行い、成果を挙げることができた。この成果は、IFIPの国際会議である、Engineering for Human-Computer Interactionに掲載された論文によって公表した。
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