研究概要 |
教育のための知識は大きくわけて「対象に関する知識(教科の内容)」、「目的の知識(例えば、知識の修正なのか知識の定着なのか)」、「学習の状況に関する知識(例えば、誤りの種類)」、「教授方法に関する知識」の4種類の知識にわけれあれる。本研究では、それぞれについて適切な知識表現を見極め、各知識の性質、知識間相互の関係に基づいた知識獲得手法を設計することを目指した。具体的な研究内容としては,知識の分析、知識獲得手法の設計、知識ベース構築ツールの試作を行った。当初は評価フェーズの実施を考えていたが,時間の制約で実験的に評価を求めるには至っていない。教育知識の分析フェーズでは「高等学校第一学年程度の物理」と「プログラミング入門レベル」の具体的な教材を対象に教授知識を分析し、上記の4種類の知識に分類した。これに基づき知識獲得手法を立案した。この手法では「目的と手段の間の合理的関係(状況に応じた適切な教育目的の設定と、その目的に対する教授戦略の合理的選択理由)が明示化されること」を主眼としたものになっている。上記の段階を経て開発された知識獲得手法を基に、知識ベース構築ツールを試作した。このツールでは、「抽出された知識表現プリミティブをメニュー形式で提示する」、「目的に対する手段の合理的理由の入力を促す」などの機能を実現している。今後,ここで明らかになった知識表現プリミティブをオントロジーとして明示することを目指す必要がある。
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