研究概要 |
ラフ集合(Rough Set)理論における特徴を把握し,論理プログラミングとラフ集合理論との融合を目指して研究を進めた.ラフ集合理論では,与えられる基本情報が不完全であり粗い場合における論理体系,推論法則,近似,知識獲得,データ解析等多岐にわたる研究が進められている.これは,ファジイ理論とは異なる新たな不完全情報処理の枠組みである. 我々は特に,属性値の不完全性から自然に定義できる上近似と下近似概念を論理プログラムに取り込み,意味論の展開と処理系の実現を進めた.本処理系は、まずソースプログラム中の特定のファンクタSETを検出し,ソースプログラムを起こりうる可能な確定節の集合へと変換する.この変換された確定節の集合に仮説推論の枠組みを適用することによって,上近似と下近似計算の手続きを実現している.また,処理系が同じ手続きを限りなく繰り返す,いわゆる無限ループの検出・回避手続きも実現している.さらに,本処理系を応用して,リ-グ戦の中間結果に基づく最終順位の把握,戦略の決定支援システムを実現している.上記の成果をまとめたものを研究発表欄に示す. 今回,近似機能を有する論理プログラムのための処理系の実現を図った.ファジイ理論同様ラフ集合理論にも多岐にわたる研究分野が派生し,ラフとファジイの融合による新たなソフトコンピューティングも重要な研究テーマと考える.
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