研究概要 |
現在のマルチメディアシステムは,対話と出力方法が決まった特殊化された形式のオブジェクトを基本にして構成されている.そのため定型的な機能は高いが,柔軟性と拡張性に劣るものとなっている.多目的利用を考えた場合,オブジェクトはできるだけ汎用の形式でデータベースに格納し,それぞれの目的ごとに特殊化したビューの形式でマルチメディアシステムおよび各利用者のマルチメディアインタフェースを構成すべきである。 本年度は,以下の研究を行った. 1.地理データベースのための質問作成支援環境 情報の合成を行なう地理データベースにおいて,利用者の質問と実際の処理の間のギャップを埋める手法,および地図を構成する各要素を決定する手法と利用者が質問に加えた調整を再利用することにより,利用者にあわせた地図の生成を支援する手法に関する形式化を行なった.また,この形式化を実証するために,プロトタイプシステムをオブジェクト指向プログラミング言語Smalltalkを用いて作成した. 2.実時間3次元マルチユーザ空間の実現方法 3次元キャンパスデータを用いて,利用者の視点,ネットワーク速度,CPU速度に応じて,利用者への見せ方(ビュー)を自動調整する方法について検討した.また,1つの3次元CG空間をUPDATE可能な共有空間として,複数の利用者で利用するための枠組みの形式化も行なっている.今後,これらを形式化に基づいて,プロトタイプを作成し,NTTのマルチメディア共同利用実験網を利用して,実験する予定である.
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