研究概要 |
この研究は感性工学でおこなう感性評価実験で得られる多次元データ処理の自動化に自己組織化ニューラルネットワークを用いるという試みである。 感性工学とは、人間の持つ感性やイメージを具体的なデザインへ翻訳するための技術である。形容詞などの言葉と具体的なデザインとの関係や感性の意味構造を感性実験データより統計解析をおこなって抽出し感性工学エキスパートシステムの形で提示している。この研究では習熟と専門知識が必要である伝統的な多変量解析などの技法の替わりに自己組織化ニューラルネットワークを用いて推論ルールを構築することを目的としている。これまでに多次元データの圧縮および特徴抽出をおこなうPCAnetと、クラスタリングおよびクラスターの特徴の発見をおこなうART1.5-SSSの2つの自己組織化ニューラルネットワークの組み合わせによる、感性実験データの自動解析システムAKSYONN4を作成している。 平成7年度では,現実の感性工学実験データに対するこのシステムの解析能力の検証のために、昨年度に行なった評価実験に加えて、女性用ス-ツ、牛乳パック、鞄の3種類の実際の工業製品群に対する評価実験をのべ50名余りの被験者を用いておこなった。 [消耗品費はこの実験で使用した文房具およびディスク類に用いた] これらの評価データを科研費[設備備品費]で購入したコンピュータを用いてAKSYONN4システムに入力し、感性の意味構造および感性とデザインとの関係を調べた。この解析結果を通常の多変量解析の結果と比較したところ、非常に良好な精度の解析結果を得ることが確認された。画像データは3Dモデラ-を用いて3次元データとして活用する予定である。 〔画像のデジタル化にアルバイトを依頼し、謝金はその代金として支払った。〕 以上の成果を、3つの国際会議(1つは発表済み、2つは採択決定・発表予定)で発表、1つの論文(印刷中)にまとめることができた。
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