研究概要 |
1.メカニズム解の自動決定 東北大学理学部の地震予知・噴火予知観測センターでは,自動震源決定システムが稼働している.このシステムで得られるポラリティの読み取り値と震源のデータを用いてメカニズム解を自動的に決定するシステムを開発した.このシステムでは,地震が太平洋下で発生したか,内陸あるいは日本海の下で発生したかを自動的に判定し,それぞれ領域で適切な速度構造を自動的に選択してメカニズム解を決定するようになっている.メカニズム解の決定にはかなりの観測点数の読み取りが必要であるため,地震が発生したと判定されてから3分間待ち,その間に読みとられたポラリティを用いてメカニズム解をWSのX-window上にプロットするようになっている.このポラリティの読み取り値は地震毎に格納され,過去の地震のメカニズム解をいつでもX-windowあるいはプリンタで再生できる. 2.モーメントテンソル解の自動決定 東北地方に展開された広帯域地震計のデータと自動震源決定システムによる震源とp波の到着時刻のデータを用いてモーメントテンソル解を自動的に決定するシステムを開発した.自動震源決定システムで求められたp波の到着時刻を基にしてp波部分の波形の切り出しを行い,また,自動震源決定システムで求められたマグニチュードから期待される卓越周波数を計算し,その周波数を中心周波数とするフィルターで波形を処理し,震源時間関数と変位波形を求めるようになっている.このような処理を施すことにより,海岸からある程度離れたM5〜6程度の地震ならば,まったく人間が介在しなくても10分以内に,かなり良くモーメントテンソル解が求められることがわかった.今回の手法は点震源と遠方近似を用いているため厳密ではないが,津波予報の第一報のためには十分役に立つと思われる。
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