申請者は、プラズマ中に短パルスマイクロ波(パルス幅50〜80ns)を共鳴領域に入射することにより、大振幅イオン波(δn/n_o〜40%)の励起に成功している。 この波の励起には、入射マイクロ波のパルス幅をイオンプラズマ特性時間_T_i=2π/ω_iより短くする必要があることが確認された。励起されたイオン波がイオン周波数で決まる特性時間に関係していることは、大振幅電子プラズマ波の励起法として近年注目を集めているレーザー航跡場(Laser Wake Field)と深い関係があると考えられ、物理的にも、大変興味深い。 さらに今年度、この励起された波の性質を注意深く観察することにより、この大振幅イオン波は、線形理論で予測される分散関係ω=C_skを満たさないことが明らかとなった。この波は、伝搬するに従い振幅は成長し、その後減衰するが、減衰につれて、線形理論で予測された分散式に従うようになる。このことは、従来のプラズマ物理学の理論では、説明がつかず、この分野の更なる進展が期待される。 今回、申請したプラズマ生成用電源を購入した。現在、実験装置に組み込み、所要の電流値が出力されることは確認した。これにより、プラズマ密度の微調整を行う予定である。
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