当研究室では平成5年度から低アスペクト比トカマクTSTの製作、実験を行っている。TSTから放射される軟エックス線の分布計測を行うための検出器の感度測定と実際のTSTのプラスマからの放射計測を行った。 計測器には16チャンネルのPIN検出器を使用した。高エネルギー物理研究所の放射光施設を利用して、検出器の分光感度特性の測定を行い、100eVから1keVまで充分な感度があることを確かめた。利用した放射光のエネルギーの上限が1keVだったので1keV以上のエネルギーに対する感度は測定できなかった。分光感度特性と同時にチャンネル間のクロストーク測定も行い、2-3%以下であることを確かめ、実用に耐えることを確認した。このエネルギー領域では、感度はバイアス電圧にほとんど依らないことも確認した。 PIN検出器1台をTSTに設置して測定を行った。トモグラフィを行うことは出来なかったが、得た信号からプラスマの形状の時間変化を大体評価できた。放電開始後90μsでアスペクト比1.3、楕円度1.8の低アスペクト比トカマクが形成されているとの結果を得た。ただし、この計測はあくまで放射計測で、磁気面と放射が一致している保証はない。また、検出器に吸収体を取り付けていないので信号が、軟エックス線か可視光かの区別をつけることができなかったので、この計測から電子温度、密度等の評価はできなかった。
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