研究課題/領域番号 |
07780421
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
プラズマ理工学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
くわ原 清 長崎大学, 海洋生産科学研究科, 助手 (30264203)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | プラズマプロセス / マグネトロン放電 / 陰極降下領域 / イオンシース領域 / E×Bドリフト / Child-Langmuirの則 |
研究概要 |
本年度の研究は、直流マグネトロンプラズマが生成された放電系において、特に外部制御パラメータの磁界と陰極全面に形成されたイオンシース厚とはどのような相関で結びつけられているかを実験的・理論的に考察することを目的として遂行された。そのために、当初、イオンシース内のγ電子のE×Bドリフト速(V_<EB>)を計算および実験により求め、それらの結果を用いて、磁界とイオンシース厚の関係を検討する予定であった。しかしながら、その計画中の実験系では、γ電子の平均自由行程が非常に短く、さらにV_<EB>が計測限界以上であったため、研究計画の変更を次のように行った。 1)多電極型マグネトロン装置に電子閉じ込め用の端板を設け、より低い動作気圧(5mtorr)にて放電プラズマを生成した。 2)陰極に交流重畳信号(5kHz)を印加し、円盤プロープを用いて放電空間内の浮遊電位の交流重畳信号に対する位相差(φ)の空間分布をロックインアンプを用いて計測した。 3)陰極降下領域内で、φ=π/2[rad]を示す容量性結合領域をChild-Langmuir則が適用されるイオンシース領域と定義して、その領域の厚さを求めた。 4)マグネトロン放電系へ拡張されたChild-Langmuir則を用いてイオンシース厚の値を計算から求め、この値を3)で実測した値と比較検討した。 結果のまとめとして、陰極降下領域内のイオンシース厚はマグネトロン放電系へ拡張されたChild-Langmuir則により推定できることがわかった。さらに、マグネトロンプラズマの生成・維持の観点より、陰極降下厚とChild-Langmuir則を満足するイオンシース厚との間には自己組織化された放電の安定性が存在することを見出した。 以上の研究結果は、マグネトロン放電系での磁界によるイオン電流またはプラズマ空間分布などの定量的な制御が可能であることを示唆しており、さらには本放電様式をプラズマプロセスにおける機能性薄膜形成の磁界制御へと拡張することができる。
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