研究概要 |
道路交通騒音の予測手法として,1994年3月に日本音響学会から報告された予測手法は,今後,環境アセスメントにおいて広く利用されるようになると考えられる。しかし,この予測手法には,いくつかの問題点があることが明らかとなっており,大きく危険側の値を予測する可能性もある。本研究では,以下の2点について音響学会から示された新たな予測手法の改良を試みた。 1.新しい音響学会式中に含まれる地表面による吸収の影響を計算する式の改良を試みた。現在,報告されている計算式では,遠距離伝搬の場合,受音点が地表面から離れるほど地表面による吸収の影響が大きくなってしまう。本研究では,このような現象が生じない新たな計算式を導入した。計算式は従来のものよりも簡略化されている。また,アスファルト路面上から周辺の地表面上への騒音伝搬を予測する際には,平坦で均質な地表面上での計算式を応用することになっているが,現在報告されている方法では,防音壁がある場合などに地表面による吸収を過大評価する可能性が高い。この点についても,より合理的な予測方法を示した。 2.新たな音響学会式で提案されているL_<Aeq>からL_<50>への変換式では,L_<50>とL_<Aeq>の差が交通量と道路から受音点までの距離のみによって説明されている。このため,防音壁や地表面の影響によっては大きく危険側の値を予測する場合があった。本研究では,防音壁による減音量や地表面の影響などを式中に取り入れることのできる簡便な変換式を導いた。従来の変換式は道路構造別に異なった式を用いる必要があったが,導いた変換式はすべての道路構造に共通な式として表されている。また,変換精度も向上している。
|