本研究では、ストレプトマイセスグリセウス菌が生産する凝集活性成分に注目し、その凝集活性成分の分離精製を行い種々の基本的性質等について検討した。 ストレプトマイセスグリセウス菌を、酵母抽出物(2.0%)、KH_2PO_4(0.1%)、MgSO_4・7H_2O(0.1%)からなる液体培地で3日間28℃で培養し、遠心分離により菌体とその上清に分離し、上清を凝集剤の粗標品として使用した。アセトンを加え凝集活性成分を析出させ、遠心分離により沈殿物を得た。この沈殿物をメタノール・クロロホルム混合溶媒で充分洗浄し蒸留水に溶解した。さらに、エタノール沈殿法により凝集活性成分を分離し、セルロファインCBL-2000mおよびセファデックスG200ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより精製した。その結果、これらの操作により約30倍に分離精製することができた。得られた最終精製標品の基本的な性質を調べたところ、本凝集活性成分は、酸性領域で働き、pH5で最大凝集活性を示した。一方、中性域からアルカリ域ではほとんど凝集活性は示さなかった。添加量の影響については、15ppmまでは凝集活性が増加したがその後は平行線を示した。さらに、熱安定性につて検討したところ、2分間の加熱でほぼ完全に失活してしまった。また、タンパク質含有廃水のモデルとして卵白アルブミン溶液を用いて凝集沈殿効果を検討したところ比較的良好なフロックの形成がみられた。 今後は、凝集活性成分の化学構造等を明らかにし、さらに、高付加価値化を含めて本凝集剤のさらなる研究開発を行いたい。
|