研究概要 |
筆者は、光屈性反応のメカニズムを明らかにすることを目的として、光誘導性抗オーキシン活性物質MBOAにより発現制御を受ける遺伝子の探索およびMBOAと同様に、光照射によって誘導される新たな抗オーキシン活性物質の探索を行った。その結果、本年度、以下の成果を2編の論文と1編の総説として公表を行った。 1.光照射したトウモロコシ芽生えから新たに2種類の抗オーキシン活性物質を単離し、その化学構造が、MBOAの類縁体の6,7-dimethoxy-2-benzoxazolinone(DMBOA)及び4-Cl-6,7-dimethoxy-2-benzoxazolinone(Cl-DMBOA)であることを明らかにした。また、このうちの一つCl-DMBOAは、新規の化合物であった。 2.Cl-DMBOAの化学合成法を確立した. 3.IAA単独及びIAA・MBOAの混在処理を行ったアベナ子葉鞘切片からmRNAを抽出し、in vitro transcription-2D-PAGE法により解析したところ、IAAにより発現が誘導されMBOAにより発現が抑制されるmRNAの存在が確認された。 4.オーキシンによって発現が誘導される、ダイズSAUR遺伝子の発現をRT-PCR法を用いて解析したところ、この発現誘導がMBOA処理によって抑制されることが明らかになった。 現在、SAUR遺伝子と同様の挙動を示す遺伝子群をアベナから単離すると共に、新たに単離した抗オーキシン活性物質のSAUR遺伝子についての効果も併せて解析しており、これらの成果についても、今後、公表して行く予定である。
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