ブタ白血球12-リポキシゲンナーゼの結晶化に必要な比活性の高い高純度の精製酵素を得るために酵素の精製法の改良を試みたが、従来の免疫親和性クロマトグラフィーを用いた精製段階の多い方法では比活性の向上は認められなかった。そこで12-リポキシゲンナーゼとグルタチオンS-転移酵素との融合蛋白を大腸菌で発現させたところ、グルタチオン親和性クロマトグラフィーを用いて1段階の精製でほぼ均一に酵素を精製することができた。しかし比活性は約2-3μmol/min/mg蛋白と従来の精製法で得られる標品と大差が無かったので、従来法で得られた精製酵素標品と融合蛋白の精製酵素標品の両方について結晶化を試みた。 Hampton社のCrystal Screen II結晶化キットの50種類の緩衝液と沈殿剤を用いて、嫌気的条件下で4℃にて透析法で結晶化を行った。融合蛋白では結晶は認められなかったが、従来法で精製した12-リポキシゲンナーゼを1M硫酸アンモニウムに対して透析したもので微結晶を得た。精製酵素の蛋白濃度、硫酸アンモニウムの濃度とpHを変化させて最適の組み合わせを検索したところ、10mg/mlの蛋白濃度で0.9M硫酸アンモニウム、pH5.56-6.28の条件で微結晶が得られることがわかったが、X線結晶解析を行うには十分な大きさではなかった。上記の結晶化キットを用いてハンギングドロップ法で結晶化を試みると、1M硫酸アンモニウムを用いた場合のみに微結晶を認めたが透析法で得られた結晶より小さかった。現在よりよい結晶を得るべく検討を続けている。
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