研究課題/領域番号 |
07780550
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
小倉 尚志 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70183770)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | チトクロム酸化酵素 / 生体エネルギー変換 / 共鳴ラマン分光法 / プロトンポンプ / 酸素活性化 / 電子伝達系 |
研究概要 |
チトクロム酸化酵素は、呼吸鎖電子伝達系の末端におり呼吸基質に由来する電子を分子状酸素に渡してこれを水にまで還元する。この電子伝達反応は膜を隔てたプロトンの能動輸送と共役している。こうしてできたプロトンの濃度勾配はアデノシン三リン酸の合成に使われる。本研究では酸素分子を還元する活性部位であるヘムに注目し、共鳴ラマン分光法により反応中間体の振動スペクトルの時間変化を追跡した。 完全還元型チトクロム酸化酵素と酸素分子を反応させると、571-、804-、356-、785-、450-cm^<-1>の順に新たなラマン線が現れた。^<18>O_2を用いた時の振動数シフトからそれぞれ、酸素化型のFe-O_2伸縮振動(571-cm^<-1>)、オキソ型のFe=O伸縮振動(804-cm^<-1>)、別のオキソ型のFe=O伸縮振動(785-cm^<-1>)、水酸化型のFe-OH伸縮振動(450-cm^<-1>)に帰属した。356-cm^<-1>のラマン線の帰属ははっきりしない。804-cm^<-1>を与える分子種(Fe=O_<804>)は785-cm^<-1>を与える分子種(Fe=O_<785>)より1当量だけ高酸化状態にあることが、半還元状態の酵素の反応との比較からはっきりした。 さらに、Fe=O_<804>からFe=O_<785>への反応速度が重水中では約20%に低下することを見いだした。この反応ステップではスカラープロトン(酸素分子を還元して水にするのに使われるプロトン)は必要ないにもかかわらず重水中で反応速度が極端に遅くなっている。このことはFe=O_<804>へ電子が供給されてFe=O_<785>ができる段階がプロトン輸送と共役していることを強く示唆する。今後、紫外共鳴ラマン分光法や赤外吸収分光法によりタンパク中のプロトンの動きを追跡することが必要かつ重要である。
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