1.タンパク質の分子内部歪みのコンピュータ・グラフィックスによる可視化。 圧力下でタンパク質子内部に生ずる歪みをベクトル場で表現する手法を開発・発表した(J.Mol.Graph.印刷中)。以前の研究では、構造変化の際原子の充填状況が変化しない部分のみあつかった。本研究では、原子充填の変化する部分にも適用可能になった。 2.タンパク質の構造とダイナミクスに対する圧力効果 リボヌクレアーゼSに含まれるSペプチドの水中、室温での分子動力学シミュレーションを2つの異なる圧力(1気圧、10000気圧)で実行した。Sペプチドの動力学の軌跡を解析した。いくつかの構造クラスターを発見した。構造クラスターの大きさの圧力依存性を調べた。10000気圧になると、Sペプチドの揺らぎやクラスターの大きさが小さくなることを発見した。Sペプチドの圧力変形を解析した。圧力で変化する部分と変化しない部分を区別して、コンピュータ・グラフィックスで表示した。この結果は1995年京都の国際学会で発表した。 (3)タンパク質の構造比較 タンパク質立体構造をCα原子のみで表現し、計算幾何学的にお互いの近隣関係を計算した。近隣であるCα原子を線分で結び、2つのCα原子間の距離を「相手に至るまでに経由する最小の線分数」で定義した。この単純化した「距離」を利用してタンパク質の構造比較をする手法を開発した。この研究は日経産業新聞(3・5)で紹介された。
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