研究概要 |
脱窒菌Achromobacter xylosoxidans NCIB 11015の産出する電子伝達タンパク質アズリンは菌体内にただ1種類のみその存在がしられていたが、X線構造解析によって2種のアズリンが存在することを明らかとした。従来法で精製したが、種結晶化法を用いたため、2種のうちただ1種のみが結晶化したと考えられる。2.5Å分解能でのX線構造解析の結果、得られた電子密度は以前報告されていたアミノ酸配列と一致しないことから、本結晶が新種のアズリンの結晶であること、またその構造情報を新知見としていち早く論文投稿したが、その後英国Montfort大学のDr.S.Hasnainらのグループが我々と同一のタンパク質を使って1.9Å分解能での構造を発表した。しかし、報告された銅イオンの配位構造は、ステラシアニン以外のすべてのブルー銅タンパク質の配位子であるメチオニンが配位しておらず、我々の解析結果とは異なってた。現在我々も1.8Å分解能までのデータ収集を行い、より精度の高い構造精密化を進めている。また、アズリン1についても世界で初めて結晶化に成功した。X線回折実験を行い、この結晶は空間群がC2の単斜晶系に属し、格子定数もa=130.3,b=54.2,c=75.0Åであることがわかった。分子置換法による構造解析にも成功し、非対称単位中に存在する4分子の配向を決定することにも成功し、現在2.5Å分解能での精密化を進めている。これらは両アズリンの構造精密化を進めた後、合わせて論文報告を行う予定である。 また、同じ脱窒菌に属するAchromobacter xylosoxidans GIFU1051についても新種のアズリンが存在する可能性が示唆されたため、GIFU由来の亜硝酸還元酵素およびアズリンを精製した。精製方法を検討した結果、本菌体からも新種のアズリンが精製された。同一菌体内に種類の異なるアズリンが存在することが発見されたのは、C1資化性菌Methylomonas J、脱窒菌Achomobactere xylosoxidans NCIBに次いで3種目となった。これら亜硝酸還元酵素、アズリン1.、アズリン2は本年度すべて結晶化に成功し、現在、それぞれ2.0Å、2.5Å、2.0Å分解能での構造解析を進めている。
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