研究課題/領域番号 |
07780590
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
五十嵐 和彦 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (00250738)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 赤血球 / ECH / NFE2 / maf / 転写因子 / bZip |
研究概要 |
bZip構造を有する転写因子ECHは、小Maf群蛋白質とのヘテロ二量体として赤血球特異的遺伝子の調節領域に存在する配列(TGCTGAGTCAT;以下NF-E2配列と称す)に結合する。本研究は、ECHによる転写活性化の分子機構と赤血球分化過程におけるECHの機能を明らかにすることを目的とした。本年度は以下の成果を得た。 1.ECHは他の動物由来転写因子には類を見ない非常に強い転写活性化能を有することが、培養細胞への遺伝子導入実験から明らかになった。そこで種々の欠失変異をcDNA上で作製し、この強い転写活性化能を担う領域を固定した。その結果、ECHのアミノ末端側の二つの領域に転写活性化能を担う領域が局在することが明らかになった。この領域は酸性アミノ酸に富むが、この性状に加え他の構造上の特徴もその強い転写活性化能に重要である可能性が考えられた。 2.種々の変異ECHの機能解析実験から、ECHの強い転写活性化能を負に制御する領域が、転写活性化ドメインやbZipドメインとは独立して存在することが明らかになった。赤芽球系細胞を用いた遺伝子導入実験において、この領域を欠失することによりECHの活性は増強すること、そしてこの領域のみを野性型ECHと共発現することにより、ECHによる転写活性化はトランスに増強されることを観察した。したがって、この領域は他の因子と結合することによりECHの転写活性化能を抑制することが示唆された。このような機能調節系は、外来性シグナルに対する反応性をこの転写因子に付与するものと考えられる。 3.試験管内での赤芽球分化誘導系を用いて、赤芽球分化に伴うECHの発現動態を検証した。その結果、赤芽球分化に際してECHの発現は強く誘導されることが明らかになった。このことは、ECHが赤血球分化過程の調節に関与することを強く示唆する。
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