本研究は、我々が棘皮動物の卵細胞より精製した70KMAPにつおて、その機能をさらに詳しく検討することを目標としており、本年度は、(1)70KMAPの微小管結合部及び微小管重合促進活性を持つ部位の同定を行う、(2) 70KMAPのアミノ酸一次配列を明らかにするためにDNAの配列決定を行う、の2点を目標として実験を行った。その結果、現在までのところ以下のような結果を得た。 1.キヒトデ卵細胞より精製した70KMAPを、キモトリプシンで限定分解し、得られたフラグメントについて、微小管との共沈実験を行って微小管結合活性を持つ機能フラグメントの同定を試みた。70KMAPは、キンモトリプシンにより、大きく分けて50K〜70K、30K付近、及び15K以下のいくつかのフラグメントに分解される。このうち、明らかに微小管結合活性を示したのは50K〜70Kのフラグメントのみであった。現在、それらのフラグメントのアミノ酸一次配列を自動アミノ酸シークエンサーにより解析中である。 2. 1と平行して、70KMAPのアミノ酸一次配列を明らかにするために、まず、PVDF膜上に転写した70KMAPのアミノ酸配列を試みた。しかし、70KMAPのN末はブロックされており、N末端からのアミノ酸配列決定はできなかった。そこで、PVDF膜上でブロムシアン分解を行ったが、うまくいかないため、70KMAPをカラムにより精製し、溶液中でブロムシアン分解を試みている。この方法で得られた70KMAP断片でアミノ酸配列の同定を行い、1より得られた配列も参考にして、ヒトデ卵のcDNAライブラリーをスクリーニングし、クローン得て、70KMAPのDNA配列を決定したいと考えている。また、70KMAPは収量が少ないため、現在、大量に精製する方法についても併せて検討している。
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